育猫ノイローゼってあるよね

最近、まとめサイトで「子猫が元気すぎてノイローゼになりそう。本当は猫嫌いだったのかな」という相談を複数見かけました。

結論から言うと「そんなことないよ!」ですが、それだけだとあまりにも曖昧なので、我が家のケースを織り込みながら考察してみます。

まとめにあったケースは、ざっくりいうとこんな感じです。

「生後半年ぐらいの猫。とにかく暴れん坊で、息が上がるほど遊ばせても夜中に運動会をして、人間を起こしにかかるので寝られない。寝室から締め出すと大声で鳴きわめくので近所迷惑を恐れて部屋に入れてしまう。ストレスと睡眠不足で倒れそうなのに、周囲に相談しても『微笑ましい』『それが猫下僕というもの』『覚悟が足りない』という意見が多くて潰れそう。」

これに対して、まとめサイトのコメントにも『うちの猫はそんなこと無い』『それが猫下僕というもの』『覚悟が足りない』という意見が多かったのですが、私はこのケース、相談者さんは悪くないと考えます。

なぜなら、うちの猫がそうだったから。


自分の場合はこの相談者さんほど追い詰められはしませんでしたが、かなり大変でした。『去勢すればいい』という意見もありましたが、うちのは去勢済みでした。

つまり、とびきり元気な猫に当たると、数ヶ月から長ければ1年ほど、お互いの生活リズムがかみ合って猫が落ち着くまで、かなり大変な生活になるわけです。

これは実際にそういう猫に当たらないと、全く実感出来ないと思います。

私もかなり周囲の猫飼いにヒアリングして、覚悟を決めて望んだつもりでしたが、本当に大変でした…。


以下、我が家のケースです。


マイケルは生後2ヶ月で猫シェルターから我が家に来ました。生後1日でシェルターに持ち込まれ、母猫というものを全く知らない猫です。

たぶん、この辺が後々の騒動の理由の一つだと思いますが、詳細は後ほど。

譲渡から1ヶ月ぐらいは全く問題がありませんでした。

家に来た当日からソファに寝転がって快食快便。小さくて入り込める隙間が多かったので、1ヶ月ほど、人のいない時間はケージで過ごしてもらいました。

大声で鳴くこともなく、静かな猫だなあ、と思ったものです。


問題が起きたのは、体もだいぶ大きくなって、ケージも卒業した4か月齢頃です。

なぜか突然、私の髪の毛に固執しはじめました。

寝ていると髪の毛をかじって、興奮して爪をたてるのです。痛くて寝ていられません。すっぽりした帽子を被ってみましたが、隙間から手を伸ばしてきます。嫌な方向に賢い…!

私が痛い以外にも、猫の内臓によくありません。子猫のおなかでヒモみたいになったら…!

数日で飽きるかとおもいきや、髪の毛かじりは延々と続きました。

寝る前に倒れる直前まで遊んでもダメ。食事も微妙に残す程度の量で不足は考えにくいし、去勢は元から終わっています。

日中いないので構いすぎてもありません。


1週間がすぎる頃、こちらにも余裕がなくなってきました。

寝不足で仕事に影響も出ています。まさか猫のせいで睡眠不足とも報告出来ず…。

思い余って、ちょっと強硬手段に出ました。

厚めの毛布を頭からかぶって、いたずらしにくい狭い洗面所に篭ったのです。マイケルが髪の毛をひっかき始めたら、シャー!と怒って即洗面所にGO。

いちど収まったので普通に寝たら、2日ほどでまた始まったので再度洗面所に。

鳴いても戻らない。反応しない。

さらにこの頃、ちょっとした事件がありました。

寝不足でイライラが募った状態でいたずらをされ、怒鳴りはしませんでしたが、強い調子で文句をいいながら、背後からマイケルを掴もうとしたのです。

その有様がよほど恐ろしかったらしく、初めて指をザックリやられました。これは自分が悪いので、マイケルを叱るわけにはいきません。

痛さを我慢してうずくまっていると、マイケルの方でも「やらかした!」と思ったらしく、殊勝な顔で謝りに来ました。

この事件からあと、急速に髪の毛かじりが落ち着いていきます。

トータルで3週間ほどかかりましたが、なんとか髪の毛かじりが止みました。

今振り返って思うのですが、この頃、マイケルも私も、お互いの距離感がよくわかっていなかったのだと思います。

子猫は普通、生後4ヶ月ぐらいまでに親猫から猫社会のルールを教わります。

思う存分母猫に甘え、逆にやらかしたらキッチリ叱られることによって、相手がケガをしない程度の力加減と、自立できる距離を学びます。

いちども母猫がいた事のない2ヶ月(人間でいうと3歳すぎぐらい)の子猫ですからね…。人間が色々教えないといけなかったんです。

母猫のように、ダメなものはダメ!というきっぱりした態度も必要だったんだと思います。


私はこの時、マイケルを手放すことは全く考えませんでしたが、それはある意味で危険な事だったな、と考えています。

もしそのまま体調が悪化していたら、育猫ノイローゼまっしぐらだったからです。

人間のお母さんが自分の子どもの夜泣きでなったりする、育児ノイローゼに近いやつですね。

対象が猫なだけに、相談もしにくいし助けも呼びにくいですし。いつ詰んでもおかしくなかった。無事に落ち着いてよかったな、と思います。


睡眠不足は、秒速で体力と気力を奪います。

場合によってはペットホテルやペットシッターさん、友人などの外部の手を借りて、一時的に猫と離れるのもいいと思います。

鳴き声が心配なら、クレームが来る前に、大家さんや管理組合に相談しておくといいかも。

猫の鳴き声のクレームが来ていないか確認して、来ているようなら事情を話して、少し待ってもらうとか。

猫はすごい勢いで歳を取るので、子猫時代の諸々は、基本的に年単位では続かないです。

寝てる最中にいたずらする→ホテル行き、という関連性が分かれば、やらなくなりますし。

夜中の大鳴きに応えないだけでも、落ち着いてくるはず。


こういう夜中の干渉って、要するに飼い主が大好きだから起きちゃうんですよね。

飼い主に構ってもらいたい、自分を見てもらいたい、って理由が根っこにあるんです。

そうは言っても全部子猫の言うとおりにしていたら人間の生活が立ちいかないわけで、そこは納得してもらわないと、ですよね。

どうしても生活リズムが作れない場合は、最悪よそへ里子でもしょうがないと思います。人間と同じで相性の問題もありますし…。

ただできれば、せっかく縁のあった猫なのですから、周囲の手を借りる事から考えてみてはどうでしょうか。


役に立つかわかりませんが、マイケルの実家である東京キャットガーディアンさんが猫の相談を受け付けているので、リンクを貼っておきます。

■東京キャットガーディアン ねこねこ110番


偉そうに色々書きましたが、ウチは結局分離不安とウールサッキングが残りました。両方とも落ち着いてきましたが、4歳にしてまだまだ日々すり合わせの途中です。

私が気にするのは、ウールサッキングが猫の健康に悪いからなんですよね。布が全種類対象なのでなかなか難しく…。(ふわふわした素材は真っ先に食べるので、全く使えなくなりました)

へたすると手術になるんで、私も気を付けるけど、もうちょい落ち着いてくれるとうれしいな…。


日々是猫日

猫に関する色んなことをのんびり&ぼんやりと。